第798回 「仕事は科学的にアプローチしよう。」
現在外部研修受講中の新人たちも、研修メニューの最終段階に入りました。
最終段階のメニューは、少人数のチームに分かれたメンバー全員が共同で
成果物を作り上げることです。
つまり、研修メンバー同士でプロジェクトチームを編成し、プロジェクト成果物を作り上げます。
そのためには、チーム内で役割分担や、チームの運営方法を決めるなど、
模擬プロジェクト運営を行ないます。
以下は、研修に参加している新人からの昨日の日報の抜粋です。
『反省点として、作業の見通しが甘かった点です。今回長い間一つの機能に時間をかけたことについて、作業の見通しの甘さが大きく出てしまったと振り返って思います。作業開始当初は4日でできる見通しだったものの、始めてしばらくすると難易度が高い機能が積み重なっている画面だと気付きました。結果7日間かかってしまい、その点が作業全体を把握できていなかったと思います。』
彼は、このところ毎回良い気付きの日報を提出してくれます。今回の気付きも大変重要です。
会社の中でも若年層は、業務指示を受けると、早く仕上げることに気持ちがはやるのか、
十分な準備もなく闇雲にモニターに向いキーボードを叩き始めます。
その挙句、スケジュール遅れ、納期に間に合わない、というような事が頻繁に起こっています。
その原因を質すと、正確に遂行工数を見積もっていなかった、思わぬところで躓いた、
仕様や実装方法に対して認識間違いをしてしまっており再作成しなければならなくなった、
技術知識不足していた、などなどです。
勿論、こういう失敗は、経験を重ねると段々解決はしてきます。
一方、経験が少なくてもこのような失敗を避ける手段は、あります。
つまり、科学的アプローチです。
作業に着手する前に①具体的に作業の手順をブレークダウンする。
②自分が理解できないこと、対処のための知識が不足していることなどを明確にする。
③理解できないことを、自分の作業に落せるよう対策する。
(調べる、質問する、教えてもらう、代行を頼む、など)
④時間単位のスケジュールに落とし込む。
このような手順で着手すれば、恐らく納期遅れは極端に減少します。
このようなアプローチは、プロジェクト遂行計画の場合も同様です。
プロジェクト業務遂行の開始時に、決めねばならないことは、
与えられた環境条件の中でどのようにして目的を遂行するか、そのための決め事です。
その主たるものは
①スキルのバラつきがあるメンバーたちが一定の品質を保った成果物を作り出すための仕組みやルールなど。例えば、やり切れるよう工夫した「役割の分担」「確実に行き届ける情報伝達方法・タイミング」「工程毎細部にブレークダウンした作業の遂行配分」などなど。
②一定の品質目標。経験の少ない若年層が理解できるような具体的品質目標。
③予算、利益などの数字目標。グループや個人の努力目標とする金額設定は重要な業務要件。
上記の2つのケースにおいて私が述べたいことは、
「仕事は与えられた内外環境条件の中で何とかして納得(満足)する成果を生み出すことに挑戦することだ。そのためには、勘に頼ったアプローチをするのではなく、キチンしたと分析と対処が必要であり、そうすれば間違いなく成功するはずである。」と言うことです。
プロジェクトチームメンバーは、
いつも十分なスキルを持つメンバーによるチーム編成とは、限りません。
むしろ現実は、スキルのバラつきや偏りのあるメンバーからなるチームの方が多いものです。
そのようなチーム編成であっても、一定の品質を保つ成果が求められます。
また、自身の特性も得意、不得意があります。
たとえ不得意な仕事であっても、どうにかして(達人に助けてもらうなどの手段を講じて)
成果にこぎつけるのが、職業人です。
何故なら、会社で自身に与えられた仕事を遂行するのは目的・手段であって、
目標ではないからです。
会社や個人には、それぞれに目標があります。
その目標を達成するための目前の目的がそれぞれの業務の遂行なのですから。