第906回 「決断」
このところいつ見ても何となく重く暗い空気を醸し出しているスタッフがいます。時には、ため息も。
声をかけると、今遣っている業務にどうしても馴染めない、と言います。
馴染めないということを、組織で働く者が口にするのは、組織秩序へ準ずる態度として不誠実のように思う。
それ故なかなか公にする決心がつかない、と言うことです。
具体的には、不慣れな業務を上手くこなせない自己への苛立ちや、元々不得意な分野の業務が多いことへの抵抗感、人的環境に馴染みにくい等に起因する気分が、馴染めない理由のようです。
そのため、業務遂行へのモチベーションは上がらず、業務遂行の成果も低く、ここ暫く重い気持ちをもて余している、と言います。
全くすっきりしません。
そんなに気分が重くては、この先何時か、続けられなくなる時が来ると、推測できるので、その業務遂行を辞めては、と周囲からはアドバイスを受けているそうです。
しかし、組織の秩序に逆らうことになるので決断ができない、と答えます。
では、どうやって解決するのだろう、と不安になりました。
こういう場合、決断して問題の業務遂行を辞める、何もせずそのまま継続する、の二つの選択肢があります。
何もせずそのまま継続すると、偶然何かが転じて馴染めるようになる可能性もありますが、めったにそんな幸運は訪れません。
そうなると、人生を前に進めるどころか、後退することになりかねません。
人生は、決断・選択の連続です。自分の人生にリーダーシップを持って選択し、決断し、行動することによって人生は前に進みます。
このケースのように清く・正しく・美しい自分であろうとして、理想的な最適解を出そうとすると、迷いが生じます。相反する事象が生じます。
何かを得るためには、断たねばならないこともあります。
自身の人生を主導するためには、この事実を受け入れる必要があります。
決めるのは、自分です。決断は、自分を信頼し、自分で行わなければなりません。
何故なら、自分で決断し、行動すれば、悔いは残せません。悔まないためには、自分で決断したことに責任を持たねばなりません。
悔いや迷いを吹っ切って決断に向かってまっしぐらに進む勢いを、生じさせ、前進せねばなりません。
相反する事象を抱えて良い決断をするには、相反する事象の整理が重要になります。
決断の条件を整理し、優先順位を決めます。
その上で、順位の高い優先項目を満たすような決断します。
あれもこれも十全に満たすことは不可能です。
なかなか物事が決められない人は、優先順位の整理の仕方が下手なのか、相反する全てを満たそうと考えるために、決められないのではないでしようか。
この時は、自己ルールを決める方法があります。
優先事項の内、満たす必要のある項目数を決める、あるいは優先事項の項目ごとの達成度合いなどを、ルールにします。
例えば、優先事項は一つに絞り、但しそれが
あるいは、2つの優先事項を選びそれぞれが70%と50%満たされれば、決断する、などです。
又、場合によっては、二者択一以外の結論が導き出される場合もあります。
相反する事象をより高次な目的に統合できれば、その事象を包含する第三の道が見つかる場合もあります。
自分を信頼し、自分の人生を前に進めるために、自分で良い決断をしましょう。