第893回 「評価」
6月に入り、私の会社では毎年恒例の評価シーズン到来です。
評価の仕組みや運用は、組織や会社によって様々です。しかし、大概の組織や会社では、
定期的に評価を行い、その結果を参考に昇給や処遇を決めるのが一般的だと、思います。
私の会社でも、期の初め(と言っても、大概は6月の初旬になりますが)に、
いくつかの評価情報を基に、給与の評価などを行います。現在、その最中と言うわけです。
本音を言うと、私自身は「評価」と言う言葉には、あまり良い印象を持ちません。
何故なら、評価という言葉は、人物の意義や価値を判断する、と言うように
非常に冷徹な感じを受ける気がするからです。
併せて、他者を評価するなんておこがましい感想を持ちます。
とはいうものの、組織運営における最大ミッションがあります。組織は組織が永続するために、
組織の目的を果たさなければならず、組織の目的である業績を最大限に引き上げることを
追求し続けなければならない、というミッションです。
その為には、組織のメンバーの成果到達能力や適性を的確に判断し、適切な業務配分することが
合理的な方法のひとつのようです。
その故に、どうしても客観的評価を行う必要性が生じてくるのです。
客観的評価と言いましたが、評価は客観的でなくてはなりません。客観的評価でなければ、
評価情報の価値がありません。
ところが、人が人を評価すると、どうしても感情が交じり偏りが出ます。
これを評価エラーと呼ぶようです。
これは避けようがないかもしれません。
人間である以上、感情を抹消することは不可能に近いからです。
ですから、なるべく公平な評価情報が得られるよう、評価者の人数を複数にする対策をとります。
しばらく前から人事評価における360度評価などが啓蒙されています。
360度方向とまでは言うわけにはいかなくても、被評価者を取り巻く環境の中で、
立場の異なる人の評価は、偏りの是正と言う意味で有用だと、思います。
また、客観性と言う意味では定量評価、すなわち数字による評価が100%客観的です。
感情による偏りが生じることはありません。
ですから、評価は相互に行う評価、すなわち定性評価と定量評価情報を合わせて
総合評価とすることが望ましいのだろうと、私は考えています。
私の会社では相互評価による定性評価として、スタッフごとの行動特性や情意・能力などを
相互に評価し合います。
評価者は、上司、スタッフ仲間、配下スタッフ、当事者、経営層の最低4名~5名以上です。
そうすることで、出来るだけ評価の公平性を保てるよう工夫しています。
定量評価は、前期一年間の活動結果、つまり売り上げや利益情報です。これら情報を集めて、
スタッフメンバーの総合評価を行うのですが、それでもこれで完璧、という評価の仕組みや運用を
完成させるのは、なかなか難しいのが実態です。
何故なら、評価を行う組織目的は、組織の業績(生産効率)向上の為なのですが、
そのことを掘り下げると、結局のところスタッフメンバーひとりひとりのより高い能力の開発と、
言うことになります。
このことは、評価されるスタッフメンバーにとっては、自己の一層の成長への導きや、
モチベーションのきっかけになります。
ですから、評価情報を評価される当事者へフィードバックすることがとても重要です。
評価面談と言うフィードバック行事を通じて、公正で透明性を保ち、スタッフメンバーの
成長への方向付けがなされるなら、成功だと思います。
こういう優れた面談を実現できるよう思考錯誤します。そして、他者を評価する行為にも、
価値があります。他者を評価する行為を通じて
「他者を良く観察する」「コミュニケーションをとる」「自分の振り返り、参考にする」
など、など・・です。
ま~た、評価の季節がやってきた。
他者の悪い評価するのは、気分が重い。
私は、他者にどう映っているのだろうか、気になる。
などと、評価には何となく後ろ向き気分が伴われるかもしれませんが、評価の持つ意味を
再確認して、正しい評価に努めてください。