第783回 「仕事のコントロール度」
先日、スタッフ全員を対象に、ストレスチェックが実施されました。
結果は、殊更強いストレスを抱えているスタッフは居らず、
チーム全体としてはとても穏やかなものでしたので、一先ず安心です。
安心をするものの一方では、ストレスが全く無いのは進歩もあまり無く、意欲にも乏しい?
これはチーム運営として、果たして良いのだろうか、と少し心配を感じたことも事実です。
活力高く成長を遂げるには、成長に関する事柄に対して、
適度なストレスを感じるほうが望ましいことを、みんな周知ですよね。
尤も直接的な仕事に関係することではないですが、
なかには少し軽微なストレスを感じているスタッフがおりました。
そういう人たちの一部は、家族の看病に追われている人や、病気治療後の身体がまだ十分回復していないなど、理由とストレスとの関連性が直ぐに連想できます。
また、たまたまその日に疲れているなどの人は、
身体へのストレスが表出されており、日常生活の様子が推測出来ます。
ストレスは、生活環境への配慮も必要だと言う教科書とおりの現実を実感しました。
僅かな時間を費やし、チェック項目に回答するだけで、このような傾向が理解できますので、
ストレスチェックは結構有用かな?と、一回目の実施結果としては効果を感じています。
ところで、なかにひとつ対処に困るな、という分析がありました。
「仕事のコントロール度が低い」のでストレスが生じている、というものです。
仕事のコントロール度と言うのは、
自分で仕事量や質、内容などを選ぶ事、調整することなどを指すのだと、思います。
ですから、「仕事のコントロール度が低い」とは仕事量が多すぎる、
要求される仕事成果の質が高すぎる、あるいはそもそも遣りたくない仕事を遣らされる、
というものだと推測します。
現在ホットな話題になっている宅配会社の現場のような
“ブラック企業やブラック現場”をついつい連想し勝ちです。
一方、普通に無理なく働くことを目指している我々のような企業では、
こういう状態への対処は、判断が難しいです。
遣らされ感を感じながら仕事を遂行している、と言うことだと思いますので、
望ましくない状態です。
モチベーション内発的理論では、人間の動機付けによる行動の大きな要因のひとつに、
「自律性の欲求」を挙げています。
「自律性の欲求」というのは、自分の意思で自由に決定、選択することを指します。
この欲求が、「決め付けられる」「強要される」などによって犯されると思うと、
何とか抵抗してやろうという気分が生じ、モチベーションは急激に下がってしまうということです。反対に自分の意志で行動を決めている、と感じることはモチベーションを高める、ということです。
今回”やらされ感を感じながら仕事を遂行している“分析結果の対象者は、新人です。
この遣らされ感をどういう風に捉えたら良いのか、少し整理してみます。
恐らく、自分で自在に遣りたい想いが元々高い性格特性なのでしょう。
これを極端にすると、他者の指図には従いたくない、
何事も自分の思うように自分で遣りたい、ということになります。
こういう気持ちは、仕事に対する遂行スキルや技術力に優れている場合は、大変効果的です。
恐らく、意欲的に高い成果を出すことも可能か、と思います。
しかし、新人の場合は、仕事の遂行についても、
技術知識や実装経験に関しても殆ど“スキル”らしいものを持ちません。
そういう場合は、先ずは先輩や指導者の指示に従うしかスキルアップの手段がありません。
そのことが遣らされ感に繋がるとしたら、次のように声掛けするしかありません。
スキルは才能に努力を掛け合わせることで上達し、
スキルに努力を掛け合わせることで優れた成果が達成されます。
その水準に到達するまでは、我を抑えてひたすら励むしかないです。
今のスキル状態で“仕事をコントロールしたい”と、いう思いを持つことは、
子供っぽい我がままでしかなく、成長に繋がりません。
“仕事をコントロールしたい”なら、コントロールできる力がつくまで、努力をし続けることです。
そのためには、自分のモチベーションの向け先をコントロールし、
マネージメントすることが手段の一つだろうと、思います。