第785回 「甘えるな!」
新入社員のケースです。
先週、新入社員スタッフが朝礼当番でした。
その朝のテーマは、
“今自分が、自身について感じていること、思い悩んでいること”を話していました。
そして話し終えた後、当人は
“自分が今一番気になっていることを、すっかり話す事が出来て良かった。
私には一番関心が高いことだったので、すっきりした。”と、感想を漏らしていました。
冗談じゃあない、会社のみんなに悩みを打ち明けて、何を期待している!
瞬間、私は唖然とし、次に怒りが・・・。
一般的にこの手の話を聞かされると、聞いた側には“他者の心の中を打ち明けられても、
他人の僕(私)にはどうしようもない。“と、言う重い気分だけが残ります。
本来、朝礼などの公の場では、みんなと共に考える、共有できる話題を提供するべきです。
そういうことは、誰から教わるでもなく
社会に出てくる前の社会生活の中で普通に学んでいるはずです。
学校や組織における他者との接触は、人と人との適切な交流の仕方を学ぶ場であります。
しかし、その日の話題は、人と人との適切な交流の意に反する不適切話題です。
人間みんな、個々の人の心の中の景色は異なります。
夫々みんなが自分仕様の思いを抱え、
その自分の心の中にある思いを時には大切に、あるいは葛藤したり、
仕方なく遣り過ごしたりしながら、何とか自分の心をマネージメントし、日常を送っています。
成熟した人間は、自分の赤裸々な心を簡単に他者に話して、
重い思いから開放されるとは、思いません。
同じように、他者の思いを聞いたとて、意に沿うような何ほどの手助けも出来ません。
それにも関わらず、他者の心の中を聞かされると、不快感を覚えます。
自分が関心を持つからと言う理由で、
他者の関心へ結びつかないようなことを、口にすべきではありません。
このケースの言動からは、
みんなが自分に関心を持っているはずだ、というような周囲への甘えの心と、
自己を中心として周囲にみんなの輪があるような、自己中心的心のあり様が見えます。
もう一点の甘えが目に付くケースは、
新人には周囲がサポートしてくれて当たり前という言動です。
新人スタッフが作成したプログラムを先輩がレビューすると、多くの間違いやバグが発覚します。
それは、とてもひどい内容を含みます。
酷い内容と言うのは、十分な見直しやテストを行なっておらず、
やりっぱなしのプログラム(商品とは言えない)のまま提出する心と
行動の粗さ・幼さが、映し出されているからです。
仮に、レビューが無く顧客にそのまま納品するのでしたら、
とても商品とは言いがたい極度に粗末なものです。
一層拙いことに、同じ間違いが繰り返されます。
これは、いずれ、レビューで見つけてもらえるから、
取り敢えず形があるものを残せば良いや、というレベルの心の動きです。
醜いほど大きな甘えです。
必ずサポートしてもらえる、レビューで添削してもらえる、という自立心欠落行為です。
プロ職業人の心構えには、程遠いです。
こういう人たちには、業務スキルを伸ばす以前に、自身による人格育ての必要性を伝えたいですね。
仕事の定義はいろいろありますが、なかでも重要な定義として、
仕事は個人にとっての修養である、だと思います。
仕事は、仕事を遣り続けることを通して、人間として自分を磨き続ける手段です。
ですから、業務遂行の技能より優先するのは、高い精神性・人間性です。
精神性・人間性が低いまま仕事に向き合えば、仕事への熱意も欠け勝ちになり、
遣らされている感だけで仕事遂行することになります。
それでは楽しくないどころか、不満ばかりが噴出します。
精神性が高くなると、精神性が自身の脳を合理的コントロールし、
技能を高める、業務の成果を高める知恵を湧き出させてくれます。
ですから、実務に繋がらないから勉強しない、
誰かがサポートしてくれるはずなどの甘えの心のままでは、
何時までたっても精神性・人間性は低いままです。
一方、仕事を通じて人間性修養に励めば、経済的自立をも伴えます。
ですから、仕事はとても素晴らしい人類の発明なのだと思います。
もっと心を入れて仕事に取組め!