第787回 「安心・信頼」
一昔前までは、絶対だと思っていた東芝のような大企業の転落にも、もう慣れてしまいました。
10年前後前くらいから大企業というか、元気な業種・業界が入れ替わってきています。
株式市場における花形銘柄の業種や業態もすっかり入れ替わりました。
そして、東芝やシャープが代表されるように以前には想像すらできなかったような
大手一流企業の凋落が、現実となっています。
これは、今までバランスが保たれていた社会の経済、
仕組みのバランスが、大きく変化しつつあるからだと、考えます。
仕組みのバランスの崩れは、国際的にも生じ始めています。
アメリカの大統領選出を始めヨーロッパの各国の大統領選でも自国主義の台頭が著しいです。
さらには、EUの存続が危機を迎えるかもしれない危惧さえ生じ始めています。
これほどアンチグローバル化への声が大きくなりつつあります。
こういう風に、まさに今私たちは歴史のターニングポイントにいるのだろうと、思います。
こういう時期には、世の中の常識、価値観がごっそり変わってしまいます。
世の中の変わり目においては、これからどうなるのか?
どういう戦略でのぞむべきか、私たちの仕事がAIに取って代わられるかもしれない、
失業するかもしれない?などの、様々な心配が取り沙汰されます。
一方、どのように世の中が変わっても、変わらない価値観があります。
それは、安心を与えることで信頼を得る、という安心と信頼と言う価値観です。
身の回りの人でいつも安心できる人、安心を与えてくれる人には、
信頼を高め末永く傍にいてほしいと望みます。
企業も同様です。安心できる商品、製品、サービスを提供してくれる企業には、
安心感が満たされますので、高い信頼を寄せます。このように安心と信頼は、不変の価値観です。
不安の時代は、この不変の価値観に則った姿勢で仕事に取組んでいれば、
時代が変わっても生き残っていけます。
一方、世の中が過剰に元気な時、例えばバブルの時期などのように
みんなが元気に浮かれている時は、派手な動きしか世間の目に止まりません。
安心や信頼は地味で目立たず見過ごされる、あるいはより酷い場合は、見下されたりします。
しかし、一旦不安定な世の中になると、地味で目立たないけれど不変の優位性が、見直されます。
そして、見直された結果、唐突に脚光を浴びたりします。
例えば、一人一人の行動においても、一時は“勤勉“や”苦労“、”継続“などは、
若い人たちの間ではみっともないことのように言われた時期がありました。
しかし、今はむしろ若く意識の高い人たちの間で、これらへの見直しが始まっているようです。
恐らくこういう波を何度も繰り返しながら、不変の価値観は洗練されてきたのだろうと、思います。
そして現在は、そういう地味な価値観である安心や信頼が高く評価される時期です。
将来に不安を感じる人が、将来不安を消し去るには、
安心を与える、信頼を得る、を徹底することです。