第790回 「正しい仕事遂行手順」
私たちが業務として遂行するシステム構築の後半工程になると、
時としてクライアントユーザ様のご要望に沿って、微調整をするケースが頻繁に生じる場合があります。
中には表面上は微調整に過ぎないのですが、プログラムやシステムの構造内部では、結構複雑な修正を行うことになる場合があります。
このような場合、相互に関連する複数箇所へ手を加えなければならず、
かなり大掛かりになることもあります。
但し、この工程時期になるとクライアント様の要望を全部引き受けていては、
納期に間に合わなくなったり、費用予算内に収まらないようになったりの可能性が高まりますので、要望の受諾へも慎重な検討が必要となります。
現在も遂行している案件のなかには、丁度そういう工程に当たっている案件があります。
担当するスタッフは、クライアント様の要望対応に大忙しの様子です。
大量に届くクライアント様要望へ対応するために、深夜残業や休日出勤が続き大わらわです。
あまりに忙しそうなので、詳細事情を聞いてみると、
次々に湧き出してくるクライアント要望は、終わった端から新たな要望が次々と生まれ出てくるようです。
おまけに急いで対応すべきだとか、今日中に何とかしてくれ、という要求が添えられているようです。
それに逐次応じているようなのですが、これは何か仕事の推進方法として変ですよね。
仕事である限り、前もって量や質を定め、
計画的遂行をすることが普遍的技術者の仕事遂行スタイルです。
逸れにも拘らず、彼は行き当たりばったり、
何時終わるとも知れず湧き出してくる業務をやっつけているのです。
本当は、しんどい仕事の遂行スタイルだと思うのですが、担当スタッフはかなりテンション高く、嬉々としている様にすら映ります。
顧客の要望に応えることの出来る自分に喜びを感じるのか、自分が手を貸すことによってモノつくりが捗ることに喜びを感じるのか。
挙句には、多忙を理由に社内の会議や行司も欠席するようになりました。
そのことを彼に質すと、「私にとって一番優先度の高い業務は、受託案件業務の遂行です。それ以外の業務とは比べられないくらい最優先です。」と、応えました。
これは、大間違い!間違っています。
受託業務遂行は、あくまでも今売上する業務の遂行です。
それ以外の業務、例えば会議や社内行司などは、未来あるいは、売上に間接的に関与する業務です。
違いは、今と将来、直接と間接の違いだけです。
ですから、優先度と言う意味では今眼の前の売上より高いものもあります。
ただし、緊急度と言う意味では時として、今の売り上げが一番高い場合が多いです。
それにしても、顧客主導の下、行きあたり的な業務遂行を行なうのは、間違っています。
最初はそのようなスタイルでの忙しい業務推進は、自分が重宝がられることに有頂天になり、その高揚感と忙しさの高揚感が一緒になりハイパー高揚に陥り、お祭り気分のような面白さを感じるかもしれません。
しかし、一時の高揚感が収まると、遣らされ感だけのしんどい業務遂行感が目をもたげます。
以前にも書きましたが、自身が仕事をする環境を自身が遣り易いように整えることこそが、仕事の高いパフォーマンスを実現することですし、正しい手順です。
言い換えますと、良い結果に繋がる仕事を行なうには、理念と正しい行動が必要です。
理念とは、自分が遂行する仕事のフィールドを使って成し遂げたいことは何か、そのためにどんな課題と向き合っていくか、と言うようなことです。
理念や正しい行動を伴わない仕事遂行は、遣らされ感だけで遂行することになったり、バグだらけのプログラムやシステム作成結果に陥ってしまいます。