第890回 「先ずは基本(コア)」
クライアントユーザ様に近い現場にいると、毎日予期せぬ出来事に遭遇します。
オペレーションミスなどは、原因が解りやすいのですが、いきなりサーバーが落ちるケースや、
自動走行のはずの定例業務処理が中断されている、などは原因調査に手間取ります。
担当した当初は、大概の人が、障害の起きたケースと対処を記録することに労力を注ぎます。
ケースを網羅してしまえば、過去に起きたケースの原因と対処の記録から、
機械的に対処できる、と考えるようです。
しかし、新たに発生する障害は、必ずしも既発生の障害と全く同一ではなく、
似て非なるケースも多いものです。
こういう場合、どのようにのぞむのが最適なのか。
勿論個別のケース事例を整理し、収拾していれば、段々勘が働くようになり、
上手く対応できるようになるかもしれません。但し、それには、かなり膨大な時間が必要です。
むしろ私は、ケースの収集は、原因や現象を大きく分類し、サンプルケース程度に留めておく。
そして、システムの仕組みの大枠をしっかり理解する。システムを構築している技術や理論の基本を
十分に理解することのほうが、効果的だと、考えます。障害が起きた時、基本的見地から分析する。
技術の一般的な傾向から、事象をシュミレーションすることが、解決への近道だと考えるからです。
つまり、全体を俯瞰することで原因個所が推定でき、次に原因個所のシステム細部を
基本分析する手法の方が、解決へは、近道だと考えるのです。
その為には、どんな時も慌てず、うろたえず「何とかするのだ、何とかなるのだ、」と言う
自己の力を信じて冷静であることが、必要です。一方、考え方の整理下手は、
あれやこれや思いを巡らせはするものの、末端部分からのアプローチの為、全容を掴めず、
仕組み全体と末端個所の関係性が理解出来難く、解決に手間取ります。
そういう人は、枝葉をたくさん考えつくが、枝葉にばかり思考が奪われてしまい、
一連の関係性にまとめることが苦手で、整理できずにいます。
こういうタイプの人の思考は、どちらかと言うとスパゲッティ状思考です。考え方の王道は、
幹(コア)をしっかり造って、枝葉をくっつけ出来るだけシンプルにすべきです。
話は変わりますが、このところますます米中の貿易摩擦が、激化しています。
トランプ米大統領の発言やSNS発信に世界中の株価、が乱高下しています。米国の中国への
制裁措置は、日本企業にとっても大きなダメージを与えます。
今朝の新聞一面の記事にも「景気判断6年ぶり悪化、外需が低調」とあります。
貿易摩擦のあおりを受け、外需が低迷しているため生産や輸出が落ち込んでいることが、原因です。
この状況が続けば、我々のようなB TO Bの業態企業は、直ぐに影響を受けます。
だから、影響を受けないような体質に変わらなければならない、と言う経済人も多くいます。
しかし、私は経済や社会は、連動しているのが当たり前であり、社会の変化に影響を受けずに
暮らしていくことは、不可能だと思います。
そもそも、現在私たちが遂行する仕事は、世の中の変化に伴う需要により
新しく生じた仕事なのです。
このように仕事はその性質上、永久不変ではあり得ず、人々の暮らしに応じて変化を遂げるものです。
ですから、社会の吹く風や揺れに逆らわず、緩やかに身を任せ、
上手くゆけば流れに乗り楽が出来るかもしれない、時には流れのせいで前進するには少し大きめの労力が要るかもしれない、そういう風に遣っていくべきだと考えます。
そして、どんな時も心は冷静で、穏やかであることです。緩やかに身を任せると言っても、流されるままではいけません。
自分と、組織や家族の自分たちにとって守るべきコア信念は、確固として守り、
信念に反しないように社会の流れに沿うのです。
自分が生きていくコア信念を心に抱えていれば、何が起きても冷静に受け止め、そうして、不安に陥ることもなく、悔むこともなく、心安らかに暮らしていけると、思います。
そういう風に生きていきたい、と思います。