第927回 「不運に見舞われた時には」
ここのところ毎朝のTVニュースは同一パターンを繰り返しています。
「昨日増えた新型ウイルス感染者は、○○人です。」が毎朝の最初のニュース報道です。同じように
夕方や夜のニュースは、「本日増えた新型ウイルス感染者は、○○人です。」が、一番に報道されます。その後に、死者の数や累計数などが続き、次に世界の感染状況等が報道されます。この報道の状況は、私たちが、今まで体験したことのない異常なパターンです。
もしかしたら戦時下では、同じような報道パターンだったのでしょうか。それほど緊張状態にあると、言うことのようです。そして、私達の期待に反して新型ウイルス騒ぎは、一向に収束の兆しを見せず、世界中で大きくなる一方です。感染の危険におびえて過ごす毎日に併せて、株価は大暴落するし、円安は一挙に進むし、経済は大混乱状況です。
ビジネス活動にも大きな支障が出ており、現段階の実質GDPへの影響は、約4.5兆円だそうです。
この数字は、東日本大震災発生時の2倍以上だそうです。いつ自分や家族などの身近な人が感染するかもしれない不安、いつまでこの不安が続くのか、経済はこの先どうなるのか、先が全く見えません。
何故なら、誰も経験したことのない事態だからです。ですから不安は募る一方です。こういうネガティブ材料ばかりで、パニックになりそうな時には、「こうなって良かったこと」に意識を向けると、気持ちが落ち着くかもしれません。何を暢気なこと言っているのだ、と目くじら立てずに。
私にとって一番「良かったこと」は、何よりも通勤時の混雑の緩和です。多くの会社が、首相の言葉に素直に従い、テレワークや時差通勤に切り替えたお陰なのでしょう。通勤混雑は緩和どころか、
まったく苦にならないラクラク通勤になりました。
余談ですが、時差通勤に切り替えた会社の人たちの話では、「時差通勤なのに、なんでこんなに人が多いのか。」と、いう程度に混雑しているらしいです。昼食時の店の込み具合もやや緩和されているようです。新幹線や飛行機もガラガラで、ゆったりですから、サービスの提供者も親切です。
いろんな集まりが中止や延期され、何故か予定が空いてしまい、時間をゆっくり過ごせます。週末のジム通いもリスキーかな、と中止したため、先週末は自宅付近の公園に走りに出かけました。すると、公園は子供たちが一杯で、日ごろ接することのない和やかな景色に、気分までもが懐かしく和やかで
豊かな気分になりました。こういうゆったり生活に慣れると、元に戻った時の苦痛は、どうなのだろうと少し案じられます。
併せてそう遠くない未来、日本の人口が今の半分近くになるとしたら、毎日こんな状況なのか、とつい日本人にあるまじき不埒なことを想像したりします。このように不安材料は一杯ありますが、自分で対処することのできないことを憂えてばかりいるよりも、現状のあるがまま受け入れる方が、平静な心でいられるようです。
日々私たちが遂行する業務や日常生活においても、予期しないネガティブ事象は起こります。
そういう時、嘆いているだけでは、自身の心身を痛めるだけで、引き起こされた事象は何も解決しません。むしろ、冷静に分析し、対応に努めることや、対応が無理なら静観することが望ましいのは、みんなが知るところです。それは頭ではわかっているけれど、気持ちの動揺は大きく、抑え難いというのが人情です。そういう時の気持ちのかわし方の一つとして、ネガティブ事象を反対から眺める、つまり良かったことや、面白いことを見つけるのも手段かな、と思います。そうやって務めて心を明るくすると、必ず運が自ら寄ってきて、物事は好転するものです。
日ごろから心配性で、心配ばかりの人には、運も近づけず不運な状況が続きますよ。