第968回 「賢い選択」
先日の会議では、テーマに設定された「新卒採用の為の効果的な取り組み」についてスタッフみんなが意見を出していました。
その際なかには、自身が就職を決めた際の経験談をきっかけに話し始める人が数人いました。
「あれっ」と感じたのは、仕事や会社を選ぶ際、必ずしも一定の考えがあって選んだのではないという決断プロセスの話を聞いた時です。
自身の思いに沿った決断でないなら、自身の選択結果に些細なきっかけの都度迷いが生じて、いずれ悔やむ時が来るのではないかと、不安を感じたからです。
スーパーでもコンビニでも良いのですが、覚えがありませんか。レジの列で隣の列のほうが並んでいる人が少ないと感じて、隣の列に移動すると、現実は元並んで居た列の自分の後から並んだ人の方が、早く清算を済ましてしまった。
その時の悔しさは、責任元は自分でしかなく、自分を責める思いの中、次はもっと賢い選択をしようと決意することで自分への怒りを軽くしますよね。
でも、それだけではあまり進歩しているとは、言えないかもしれません。
気持ちを焦らせて早くレジを済ました結果得るメリットは、ほんの数分の時間だけです。むしろ、上手くいかなかったときのストレス感や、早く列が前に進めば良いと念ずる心労を考えると、あまり効果的ではないですね。
同じ並ぶのなら、悠然としたかっこいい態度で、早く進みそうな列の見分けを極める訓練、例えば並んでいる人たちの様子を観察することなどをする方が、より建設的です。私達は、毎日のように何らかの選択をして、決断をすることを繰り返し生活しています。そして、自らが選択した「間違い」を学習しながら「正解」選択の確率を上げてゆくのが、賢明な人のように思っているかもしれません。
一方、私は自ら選んだことは決して「間違い」ではなく必ず「正解」にする、という考え方のほうが性に合います。何故なら、自分の根っこにある思い(信念)に沿って下した決断であれば、自分にとって「ため」にならないことは、ないはずです。この仕事を選んだのは「間違い」、この会社に就職したのは「間違い」と、辞めていく人たちがいます。そういう人たちは、就職を決める時どういう決め方をしたのでしょうか。
勿論、環境事情が変化して辞めざるを得ない場合もあります。また、信念とて自分の成長に合わせて変化するかもしれません。一方、しっかり自身の信念に基づいて選択し、その信念に変化がないのなら、自身の信念に沿えるよう状況に働きかけをし、初期の思いを実現することが、人生における時間活用では高効率です。
気軽に選択を翻していると、それまで投じた成果への時間効率が落ちてしまいます。仕事を遂行する時、生産性や時間管理の重要性を説きますが、人生の時間管理はより重要です。特に、何事かを成し遂げようとする人にとっては、時間管理は肝です。そして、選択をする際に後から後悔しないために最も重要なことは、自分が何をしたいのか、何を自分の思考の枠組みにするのかを、しっかり自分の言葉で考えておくことです。